第11 感染性胃腸炎・胃腸かぜ・食中毒
感染性胃腸炎とは細菌やウイルスなどの病原微生物が原因となる腸管感染症です。地域によっては「胃腸かぜ」と呼ばれることもあります。また細菌やウイルスなどに汚染された食物を食べることによって病気が集団発生した場合を食中毒といいます。食中毒は細菌やウイルスが直接感染することによるものだけではなく、それらの微生物が産生する毒素によっておこることもあります。
感染性腸炎はノロウイルスなどのようなウイル性腸炎とブドウ球菌などの細菌が原因の細菌性腸炎に分けられます。一般にウイルス性腸炎は乳幼児に多く、細菌性腸炎は年長児や成人に多く見られます。
感染性胃腸炎の原因ウイルスとしては秋口(10月頃)から発症し始めるノロウイルスが有名です。ノロウイルスは遺伝子型が多く、変異しやすい(少しずつウイルスの型が違う)ので一旦かかっても、またかかりやすい、感染力が強い、小児や高齢者に発生しやすく、高齢者施設や学校などで集団発生(食中毒)しやすい、などの特徴があります。
ロタウイルスも冬場の胃腸炎の原因として多くみられます。
細菌性胃腸炎の原因は、調理者の手指の傷に付着した黄色ブドウ球菌、ウェルシュ菌によるものがありますが、そのほか鶏卵・鶏肉や牛肉の汚染が原因となるサルモネラ菌、カンピロバクター菌、腸管出血性大腸菌、豚肉から感染するエルシニアや海産物・魚介類から感染する腸炎ビブリオなどがあります。
感染性胃腸炎の潜伏期間:病原微生物の種類によって発病までの潜伏期間が異なります。黄色ブ菌、ウェルシュ菌、腸炎ビブリオ、ノロウイルスなどでは潜伏期間は1日以内と短いのに対して、カンピロバクター、腸管出血性大腸菌、エルシニア菌のように潜伏期間が長い場合もあります。
感染性腸炎の症状は下痢、嘔気、嘔吐、腹痛、血便、発熱などです。症状は千差万別ですが、高齢者では下痢、発熱などが少なく、食欲不振や嘔吐が唯一の症状のことがあります。このような症状が数日以上続くと特に乳幼児や高齢者では脱水症になる恐れがあります。
感染性胃腸炎の予防:特に夏場は、生ものはできるだけ避け十分に加熱したものを食べること、調理して時間がたったものは、たとえ冷蔵保存していたとしても食べないこと(勿体ないと思わずに迷わず捨てる)、食事の前やトイレ後の手洗いを十分に行うことなどが大切です。
感染性胃腸炎の治療:自然治癒傾向(自然に治る)が強いので、食事に気を付けて安静にしておくことでほとんどの場合治ります。お粥などの消化の良いあったかい食べ物と飲み物でおなかを冷やさないことが基本です。下痢・嘔吐などの症状がひどい場合は脱水症となるリスクが高いので医療機関を受診してください。血液検査などによる全身状態の把握と輸液(点滴)や抗菌剤投与が必要な場合もあります。
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